建具の豆知識
引き戸のレールの修理方法を知りたい!修理方法と費用の目安を紹介
皆さんのお宅には、引き戸がついていますか?引き戸は和風の住居などによく見かけられます。この引き戸も長年使っていると、ときどきガタピシと音を立てることがあるようです。そんなときは何らかの理由で、引き戸のすべりが悪くなっているのです。
引き戸の開閉の悪さは、案外ストレスになるものです。そんなときは早くすべりを良くして、スムーズに引き戸を動かせるようにしたいものですよね。実はご自分でも簡単に、引き戸のすべりを良くすることができるのです。
では、引き戸がうまく動かなくなったとき、修理するにはどのような方法があるのでしょうか。今回は、引き戸のレールなどの修理について、その具体的方法を一緒に見ていきましょう。
目次
引き戸のレール修理についてー原因と対処方法
引き戸は、扉とレールがあって初めて動かせます。引き戸の構造は、敷居の上にレールがついており、その上を引き戸の下につけられた戸車が回転して動くようになっています。そのため、レールか戸車に異常があると、引き戸の開閉に影響を及ぼすこともあるのです。
まずはレールの故障について見ていきましょう。レールが故障する原因としては、以下が考えられます。
レールと戸車の種類
(1)V型 車輪とレールの断面がV字になっているもの。レールを床に埋め込むタイプなので、より安定しやすい。
(2)Y型 車輪とレールの断面がY字になっているもの。V型同様、レールを床に埋め込むタイプ。凹みに戸車がはまる形になるのでV型よりも外れにくく、安定している。
(3)T型 上記2種類と同様、レールを床に埋め込むタイプ。戸車全体ではなく、突起部分のみがレールにはまる形をしている。
(4)丸形 旧来より使用されてきた型で、レールが半円型に突起しており、そこに半円状に凹んだ形の戸車がはまる構造になっている。最近では減りつつあるタイプです。
(5)平型 レールがなく、敷居の上を戸車が直接動いていくというタイプです。
レールが故障する原因とは
◆異物混入
レールにゴミなどの異物が混入していると、戸車の開閉がしにくくなってしまいます。
◆レールの摩耗
何年も開けたり閉めたりを繰り返すことで、レールが削れて溝ができ、開閉しにくくなります。
◆レールのさび
引き戸が外に近かったりなどして雨などがかかると、しだいに錆が生じて開け閉めがしづらくなります。それを放っておくと、そのうち全く開かなくなってしまうこともあります。
レールの故障への対処方法とは
◆異物混入
掃除機でほこりやごみを吸い取ります。それでも取れない小さなごみは、つまようじや使わない歯ブラシのような、細かい場所を掃除できるものを使って除去しましょう。
◆レールの摩耗
・和引き戸の場合
和引き戸は、床面に引き戸テープが貼られている場合があるので、新しいテープに張り替えます。または引き戸テープに潤滑剤などを塗ることで、滑りが良くなります。
・洋引き戸
洋引き戸は、床板にレールが埋め込んであります。レールが曲がっているなど異常があればドライバーでネジを取り外し、レールの取り換えをします。またサンドペーパーなどを使って、レールが固定してある床板が水平になるよう整えます。
◆レールのさび
レールがさびているときは、市販のステンレス用清掃剤を馴染ませるとよいでしょう。あまりさびがひどいようでしたら、ドライバーを使いレールの交換をします。
戸車を修理するー原因と対処方法
戸車とは引き戸の底に付いている、小さなタイヤのような部品です。ゴムや金属製などさまざまな種類がありますが、戸車の寿命は3~4年ほどといわれています。
戸車が故障したときの原因とは
◆戸車の消耗
戸車の樹脂がすり減ってしまうと、動きが悪くなります。
◆軸の故障
戸車の劣化も原因の1つです。戸車を支える軸の部分が折れてしまったときや、曲がってしまったときに、戸車の動きが鈍くなってしまいます。
◆異物混入
戸車にごみやほこりがついていると、戸車が巻き込んだごみが湿気を吸って滑りが悪くなり、引き戸の開閉に支障をきたすことがあります。
戸車の故障への対処方法とは
◆戸車の摩耗
戸車が摩耗している場合は、扉を外して新しいものと交換をしましょう。古い戸車をホームセンターなどに持っていき、同じものを買ってきます。またホームセンターなどで見つからない場合はメーカーに問い合わせてみましょう。
古い戸車を留めているネジをドライバーで外し、新しい戸車をはめます。
◆軸の故障
軸の故障している場合も、新しい戸車と交換します。
◆異物混入
つまようじや歯ブラシなどを使って、戸車についているごみやほこりを取ります。
ご自分で修理する場合の費用は数千円で済むため、経済的です。もしご自分でやってみたいという方は、ご自宅のレールや戸車の型を確認した上で、挑戦されてみてはいかがでしょうか。
家の建てつけに問題があるときの原因と対処方法
戸車やレールに問題がない場合は、家の建てつけ自体に問題があることもまれにあります。
家の建てつけの問題の原因とは
◆自然災害
地盤沈下や地震といった自然災害によって建物自体が傾いてしまうことにより、引き戸が開閉しづらくなることもあります。
◆工事の不備
工事の際に業者がいいかげんな手抜き工事をしていると、建てつけが悪くなり、引き戸の開け閉めにも影響してくることがあります。
家の建てつけの問題への対処方法とは
家の建てつけが問題の場合は、建築の専門知識がないと対処ができないため、業者への依頼が必要になります。
引き戸が動かないときに、やらないほうがいいこと
引き戸が動かないときに、これをやってしまうと状況が悪化してしまう、ということがあります。事前にやってはいけないことを、知っておきましょう。
やらないほうがいいこと
掃除することは大切ですが、アルコールで掃除するのは避けた方がよさそうです。なぜなら、アルコールが原因で、戸車やレールがさびてしまうことがあるからです。
またごみなどを取り除く前に、戸車に油をさしたりするのもやめましょう。油が原因で、戸車についたごみやほこりを取れにくくしてしまうこともあるからです。
普段の対策
常日頃から、引き戸の開け閉めするときにちょっとでも引っかかるなと思ったら、早めに掃除をすることです。引き戸の劣化を防ぐためにも、普段のこまめな掃除が必要なのです。
修理を業者に依頼する場合
レールや戸車の種類が分からない場合など、どうしても自分では修理できないというケースも出てくるかもしれません。そういう場合は知識と経験が豊富な業者に依頼した方が、断然解決が早くなります。
費用の相場
どのような修理内容かにもよりますが、一般的に修理を業者に依頼する場合、費用の相場は数千円からになります。しかし、建てつけに問題があった場合は規模が大きな工事になるため、数十万~数百万円かかることもあるようです。
建てつけの悪い状態を何年も放っておくと、建物自体の劣化も進んでしまいます。いよいよ工事をしなければならないとなったら、もっと多くの費用がかかってしまうかもしれません。
そもそも、建てつけに不安があるような危険な状態で暮らさなければならないのは、大変なストレスになるものです。
このような場合は、できるだけ早めに業者に相談した方が安心でしょう。
まとめ
引き戸には寿命があります。引き戸が動かなくなったときには、レールや戸車の故障が考えられます。レールや戸車の部品は、ホームセンターやメーカーに問い合わせれば新しいものを購入することができます。引き戸の修理は、ご自分でも比較的簡単にしやすいものです。
また、日頃から掃除機をこまめにかけるなどして、ごみやほこりがレールや戸車に付着しないようにすることが肝心です。
ただ、家の建てつけ自体が歪んでしまい、引き戸の開閉にまで問題が生じた場合は、素人ではなかなか対処ができないものです。その場合は、事態がより悪化する前に信頼できる業者に工事を依頼した方がよいかもしれません。
皆さんのお宅の引き戸が、早くスムーズに動くように願っています。